京都大学大学院 経済研究課の諸富 徹(もろとみ とおる)教授が、ドイツの再生可能エネルギービジネスについてお話された。以前、当HPブログでも先生のバイオマスと地域振興というテーマを取り上げご紹介した。
http://info.sanrin-katsuyo.com/?eid=37

今回のお話で最も注目すべきは、再生可能エネルギーの投資の主役が巨大資本ではなく、個人がその主役を担っているという点である。その理由は、1つが再エネは小規模地域分散型であるので、規模のメリットが生かせず大企業にとっては旨みが少ない、2つめ(これが重要)は、地域中心主義という考え方があって、地域のあらゆる資源を自分たちで生かし自分たちに還元して自立して行くという強い信念があるためだ。(簡単に言うと、地元の資源を大資本に委ねてその利益をみすみす奪われる位なら、自分たちでやってしまえということ。自立)
ドイツにおいては、電気エネルギーの25%がすでに、再生可能エネルギー由来でありそのうち実に40%が個人からの投資で成り立っているとのことである。(個人が4割、農林業者・中小企業・銀行が各10%づつ、個人事業家が15%)

興味深いことに、個人の投資はバラバラに行っているのではなく、地域のエネルギー組合なる組織を形成して投資している。組合員は数十人から数百人からなり、出資比率に関係なく1人1票の権限をもち民主的な運営がなされているとのこと。個人々々が、ただ、運用のプロと言われる人(組織)に(どこで何がおきているのかもわからないものに)任せて配当のみを要求するのではなく、事業の運営そのものに積極的に関与していることも特徴のようである。一見きれいごとのように見えるが、地理的、歴史的に自立、自衛の必要性に迫られてきた彼らの合理的な判断なのかもしれない。
欧州で見た、本当の意味で豊かな暮らし振りの根源は、この自立した自信から生まれてくるのかもしれない。http://info.sanrin-katsuyo.com/?eid=26

話は、少し変わるが、丹羽先生率いる「木の駅プロジェクト」http://kinoeki.org/で有名なNPO法人地域再生機構理事の森大顕氏がヨーロッパの薪ボイラーを導入しようと奮闘されプロジェクト初期目標を達成された。木材燃料チップの流通インフラがない日本で、薪のままエネルギー利用できれば、活用のハードルが一気に下がるとの思いだと推察する。欧州からのレポートは詳細にわたり非常に興味深い。ドイツの事例の良いところと、悪いところを参考にしながら日本版地域中心主義が根づくことを興味深くウオッチして行きたい。
https://readyfor.jp/projects/maki-bo