昨日は、ドイツ3箇所の利用事例を視察しました。
フォレステンフェルドブルックの工業団地(コカコーラ工場)、ショッピングセンター、住宅地への熱供給システム(2500KW)、バイエルン州 アクセルブルグの 農業研修所への熱供給システム(400KW)、アウルスブルグの 1500床を超える病院への熱供給システム(1500KW)を視察することができました。これらの施設を見せて頂いて直感的に感じたのが、バイオマス利用が社会システム全体の中で非常に確固たるポジションを確立していることでした。たとえば、様々なバイオマス燃料を運ぶトラックがシンプルに「かっこいい!」のです。 時差ぼけのため、本当はまだまだ30倍くらいお伝えしたいことがあるのですがブログ更新中に寝てしまい。もうスタートしなければなりません。この続きは、今晩また

続きです。(後日、帰国後記録のため追加しました。)
フォレステンフェルドブックの熱供給エリアです。
コカコーラ工場へ供給
写真右上のオレンジの部分のバイオマスボイラーから地域の、コカコーラ工場、ショッピングセンター、学校、住宅地へ熱供給と冷気の供給を行っていました。ヨーロッパは、バイオマスエネルギーは、発電利用は少なく、そのままの熱を直接使うことが多いようです(利にかなっている)。また、どうしても、夏季は
熱需要が少なくなるので、吸収式冷房機が設置され、110℃の温熱を6℃に下げて供給する仕組みを備えていました。(↓ は吸熱式冷房機)
吸収式冷房機
発電では、バイオマスエネルギーの多くをロスしてしまうことを熟知した彼らは、あまり発電には力をいれていませんでした。(やはり) 冬季の寒さ対策という熱需要も彼らの考えを後押ししているようでした。この熱利用の最大の課題の一つは、需要の変動が大きいことです。その対策としては、巨大なバッファータンク(お湯のタンク)でした。バイオマスボイラーは、熱需要のピークにあわせて設置せず、需要の変動を大きなタンクにお湯を溜め込んで調整しているのです。日本人のボイラー選択は常にオーバースペックとの指摘を彼らは訴えていたのが印象的でした。少し小さなボイラーを常に安定して稼動させる、ここにもバイオマスボイラーの本質を見た気がしました。

バッファータンク

たまたま、ボイラー施設に、始めに紹介したバイオマス輸送トラックで燃料を搬送してきたのですが、その燃料はバーク(樹皮)などが既に発酵し始めているような非常に低質で含水率が高い状態のものでした。

低質な燃料

しかし、こんな燃料がまたちゃんと燃えている。しかも、時にはこぶし以上の石など
様々な形状の異物が混入している状態です。

燃焼状態

これには、驚きました。彼らは、ボイラーに燃料を合わせるのではなく、そもそも低質なものも種々雑多な燃料であることがバイオマス燃料の本質であることを理解し、燃料にあわせたボイラーを設計しているのでした。ボイラー室に入ると、驚くほど清潔で、若干暑い程度の室温。これにも驚きました。結局、せっかく燃やした熱を極力、高含水率の燃料を予備的に乾燥してしまう仕組みをシンプルに実現しているようでした。薪をライフスタイルから手放さなかった彼らが発想したボイラーという言葉がぴったりです。私も個人的にヨーロッパの薪ストーブを所有しているのですが、日本を決して馬鹿にしている訳ではないのですが彼らのストーブは、燃焼状態が非常に利に叶っていて極力まで燃焼しつくすと言った感じです。なぜ、そのような製品があるかといえば、そこには、ストーブの需要があり複数のメーカーが競争して性能を高める土壌が存在するわけです。バイオマスボイラーにも同じことが言えるはずです。バイオマスを追求した過大でないボイラー技術をもったメーカーが複数存在できる市場が存在すること。これこそが、バイオマスに適したシステムを追求できる理由であり、その追求の歴史は一長一短に真似できるものではない気がしました。(上記の燃焼状態、技術者であればわかると思います。)

次に訪れた農業研修施設の400KWボイラーは、これも熱供給のみのボイラーでした。
ホテルのような研修施設宿泊棟↓
農業研修施設

案内して頂いたのは、この施設の管理人さんです。今回のヨーロッパ視察では、地域の熱供給システムの管理人のかたはその施設の大小を問わず、全て「地元のおじさん」がたまにチェックにくる程度の監視体制でした。このような体制にしないと、小規模の施設では、採算が取れないのです。
下の写真は、燃料ストックヤードです。近隣の山林所有者から、チップを供給してもらっているとのことでした。

燃料チップ

出来たばかりの施設でした。管理人のおじさんは、皆さん丁寧に教えてくれます。


1500KWコールバッハ

この日最後に訪れたのは、ドイツ中核都市 アウルスブルグにある1500床の病院への蒸気供給と電力供給施設1500KWです。写真の大きな扉は、燃料チップの受け入れ上です。写真おくは、病院施設です。白衣を着たスタッフが行き来していました。非常に清潔な施設でした。

病院施設

エネルギーセンターと書かれた看板。大きな病院は非常に熱を使うようです。確かに先日岡山に帰省したときに、岡山大学の大学病院にも同じく、エネルギーセンターがありました。

エネルギーセンター

ボイラー施設でもっとも汚れる、灰の排出施設です。病院施設ということもあると思うのですが、私の想像するボイラー施設とは異次元でした。

灰処理施設

100%製材工場から供給されている、チップを利用していました。
まさに、製材工場のチップです。感触は、我々のものとほぼ同じ感触でした。
含水率は、60%とのこと。まさに同じです。

燃料チップ

燃えてます。すごい。日本のようにボイラーの別施設で前処理乾燥など一切無し。

燃焼状態

今回の視察、初日は衝撃的でした。 あくまでも、海外での事例です。でも、50年の歴史の違いを感じました。薪を捨てた日本には、この技術はない。直感ですが、そう思わざるを得ない一日でした。