昨晩の宿泊先は、メルティンゲン 本日の視察地のすぐ近くの宿です。宿の周りは工業地帯です。屋根裏部屋でシンプルだけど素敵な部屋でした。
メルティンゲン宿

最初の見学地は、ドイツ最大の乳製品メーカー(ZOTT社)に蒸気(熱)と電気(2500KW)を供給する10MWのボイラー設備です。800m離れたところに、乳製品工場が見えています。こちらでも、発電は熱利用の余力として発電を行っている(現在では、固定買取価格がそれほど高くないため)状況でした。
熱利用の需要先として、食品や飲料工場は有望であるようです。

zott社へ供給

ボイラーへの燃料投入経路
ヨーロッパスタイルは、プッシャー方式が主流で、形状の不安定なバイオマス燃料の安定的な供給と、安全性を確保していると技術者は説明していました。微妙な形状や傾斜は、実績から得られたノウハウなのでしょう。
コールバッハzott

ここで用いられた燃料は、伐採されたばかりの枝と樹皮枝などの混在したかなり低質な燃料の2種類をミックスして利用しているとのことでした。含水率は、45%~50%で特に冬場は、凍結などの影響で含水率が高い状態の燃料が続くとのことでした。

ヨット燃料?

伐採直後の枝葉チップ燃料

ヨット燃料?

、剪定枝等の低質な燃料

これだけの設備の灰処理対策は、やはり課題です。彼らは、湿式ではなく、飛散防止のため写真のようなパッケージタイプのコンテナが主流です。
ヨット灰処理容器

次にドイツで中堅規模とされる年間70万m3の原木を消費する製材工場(ワインシィアル社)でのバイオマス施設を訪問しました。国産材メーカーでNo,1と言われる弊社の原木消費量は、グループ全体で11の製材工場あわせて28万m3です。一箇所でこの規模の原木が供給できることが、外材の低コストの源です。原木価格も、100ユーロ(98円/ユーロ)であり日本と変らないにも関わらず、製品価格はKD180ユーロとのこと。驚きです。製材生産では、利益は出ずともチップ等の有効利用で採算をあわせているのでしょう。

ワインシィエル社丸太

巨大な乾燥設備が立ち並ぶ 乾燥ヤード

ワインシィエル乾燥機

製材工場のチップ

ワインシィアルチップ

12MWの熱・発電ボイラー施設

ワインシィエルORC

近年、ヨーロッパで導入が進む、ORCシステム(Organic Rankine Cycle)の建設現場を見ることができました。沸点の低いシリコンオイルを蒸発させタービンを回すことから、効率的に発電すると同時に熱回収が用意で熱・電併給のシステムです。蒸気方式に比べ、低圧での取り扱いとなりヨーロッパの法規制ではより人件費を削減した無人化システムが可能であることから補助金を使いながら導入を進めているとのことでした。

ORC内部