毎年恒例ですが、国産材協会メンバーとしての林野庁へ新年のご挨拶に同行させて頂ました。

新政権に替わり、正月休み返上で大型の補正予算に対応に追われているところでの訪問でしたが、
皆様の心強いお言葉に元気付けられ、新年にふさわしいスタートを切ることができました。

林野庁 末松広行 林政部長からは、
「新政権発足にともなって大型の補正予算が組まれている。この貴重な財源を将来の活力ある林業に向けて是非生かさなくてはならない。是非皆さんのご意見を伺いたい」との力強いお言葉を頂きました。

また、ある部署では、これからの森林資源の活用について熱い議論となりました。
(いつも、急な訪問にも関わらず昼食の時間も超越して議論の場となります。)

論点は以下のとおり、

①製造業としての林業の視点が必要

マーケットを見据えた、原料の生産と供給、原料を背景とした製造(製材・加工)

林業は、植林からスタートすると非常に長いスパン(数十年)のサイクルである。日本林業は、あまりにも早い時代の変化に追随できずその価値を見失ってしまった。林業全体を製造業という視点で再度見直す必要がある。

②木材マーケットの変化

例えば、この20年くらいで、原木価格においても良質材といわれる価格が大幅に下落している。理由は簡単で、いわゆる高品質(目視上等)の木材の市場がなくなり、大部分が並材の市場となっている。
客観的に見れば市場は、コストの安い木材を望んでいる。

③今後の木材需要

人口が減る→ 需要も減る

需要を維持する為には、新規の分野への木材利用を検討するしかない

④林業の再生

長伐期施業・間伐施業だけでは限界。国際商品である木材利用を促す為には、コスト競争力をつけるしかない。 将来的には、大胆な低コストな間伐システムを構築すると同時に、主伐を検討すべき

低コスト林業のポイント

大胆な間伐、路網整備、育林費の削減(林業経営コストの8割を占める!!)

キーワード  優良品種、コンテナ苗、伐採・造林同時作業、疎植林、短伐期

経営なのだから、コストを下げ、回転率を上げる発想が必要である!!

⑤さいごに

諸外国では、林業投資管理会社(TIMO)や不動産投資信託会社(REIT)などが森林を所有・管理し自然に成長する山林資源をどのように運用して高い収益を得るのかという時代になっている。

また、それらの実績を受けて、機関投資家がリスク分散の手段として林地へ投資しポートフォリオを形成している。そのためにも、日本においても製造業として林業が進化する必要がある。

他の産業に学びながら、林業の可能性をもっと柔軟に発想すべき!! まだまだ、林業は可能性を秘めている。

一例
コウヨウザン(広葉杉) 学名Cunninghamia lanceolata
http://www.ffpri-kys.affrc.go.jp/tatuta/jumoku/kmt38.htm

中国南部原産で、萌芽力が強く、病虫害が少なく、成長量が早く、木理が通直、強度が強く
加工が容易。

まさに、夢のような樹種です。(30年生前後で胸高40cm、樹高20数メーター)

林業には、まだまだ可能性があり、やらねばならないことは、それこそ山のようにある!!

念頭から多くのパワーを頂いた訪問となりました。

山林活用の可能性(林野庁 新年のご挨拶)

林野庁の皆様、貴重な時間ありがとうございました。