長野県は、県内初の集中型加工施設と全国初の森林資源活用型バイオマス発電施設を設置する
「信州F・POWERプロジェクト」を立ち上げた。事業主体は征矢野建材(長野県松本市、櫻井秀弥社長)、年間原木消費量は30万㎥、総事業費は70億円。(日刊木材新聞2012年9月19日付け)

阿部守一知事らも記者会見に出席され、県をあげてのプロジェクトのようです。記事によると、長野県は全国3番目の豊富な森林資源を背景に、「県森林づくり指針」において年間の素材生産量を2010年時点、30万㎥を10年間で2.5倍の75万㎥とする目標をあげています。木材需要の受け皿として集中加工施設を塩尻市に建設し、現在未利用となっている広葉樹、アカマツを主体に年間原木消費量8万~12万㎥を利用し、主に無垢を基本としたフロア材を生産し、中国等への輸出も視野にいれているとのこと。このプロジェクトには、大建工業(大阪市、澤木良次社長)も参画予定。
一方、バイオマス発電施設(34億円)は、原木消費20万㎥を見込み、森林整備に伴う低質材や製材端材を活用する森林資源100%利用型を目指しているようです。発電量は毎時1万KWで2万世帯分の電力を供給できる能力で、その他、発電で生じる熱を工場内で利用したり、地域に供給し地域活性化を図る。塩尻市もインフラ整備に協力するなどまさに、地元全体でのバックアップが印象的です。

現在は、日本市場では生産品の多くが供給過多の状況であり、我々もその販売先には苦慮しています。原料の安定供給と販売先の確保など様々な課題があると想像しますが、このようなプロジェクトが成功すれば、長野県の森林資源はより活発に利用され森林の価値が向上するでしょう。