福岡市が1977年から行ってきた木材の売却益を分け合う分収林事業が、材価低迷の影響で、現時点で約100億円の赤字の見通しとのこと。      読売新聞 九州版 2013年2月15日

この記事から現在の木材(山林)の状況を整理したいと思います。

<ポイント>
○森林所有者は約1350名
○森林面積1070ha ヒノキ845ha スギ220ha
○材価は事業開始直後1980年をピークに1/3に
○分収の内容(販売額から伐採搬出費用を除いた売却益の6割が市、4割が所有者)
○全て木材を処分しても売却益は約10億円。
○約40年間の経費 植林代、管理費を合計すると約140億円
○補助金を除いても約100億円の赤字

<この記事から大雑把に計算すると>
○40年間に市がかけた経費は、1308万円/ha
○ヒノキ845ha×250m3/ha×15000円/m3=約31億7000万
○スギ 220ha×300m3/ha×10000円/m3=約6億6000万
○合計                     木代金 38億3000万
○伐採搬出経費  38億3000万円-約10億円=約28億円
○材積当りの伐採搬出経費 28億円/277250m3=10100円/m3
○木材売却益は、93万円/ha

<総括>
全国の分収育林は、その多くが元本割れをおこし、経営的に成り立たなく
なっているのが実情です。この事例のように、40年間で1300万円/ha以上
の経費をかけているとのこと。材価が現状の4.5倍でなければ採算が
会わないという経費は、多すぎることを考慮しても、日本の
山林の多くがこのような状況になっているのだと想像します。

分収育林のような、まとまった山をなんとか生かすことが出来ないか、
いつも考えさせられるテーマです。